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2005年7月7日(木)「第1回 アジア クィア・スタディーズ国際学会」1日目 [バンコク日記2005]

2005年7月7日  バンコク  曇り 午後一時雨

5時40分、起床。まだ、日の出前。
さすがに眠い。
シャワーを浴びる。お湯は豊富に出る。
化粧と身支度。
草色に笹模様の綿紅梅(竺仙)。
下は萌黄色の吸い上げ暈しの麻の半襟を付けた半襦袢。
帯は黄色を下に赤黒を上に結んだ順子オリジナルの二階文庫。
若草色の吸い上げ暈しの帯締をかける。

7時半、金田氏を誘って朝食へ。
朝食は、タイ料理と洋食のバイキング形式。
せっかくなので、できるだけタイ料理を食べる。
外国人向けに調整してあるようであまり辛くない。

朝食を終えたころ、やっと菅沼氏が現れる。
済んだことは仕方がないので、違約は責めず、これからの段取りを打ち合わせる。

会場受付で、今回、声をかけてくださったマーク・マクレランド氏(Mark McLelland University of Queensland:オーストラリア)にご挨拶。
ところが、受付に私のIDカードが用意されてない。仕方なく自分で手書きして作る。
昨夜のことといい、私は本当にこの学会に呼ばれているのだろうか?
少し気持ちがいじけてくる。

9時、オープニングセレモニー。
主催者の挨拶の後、Vitit Muntarbhorn教授(タイ)の基調講演“Sexuallties,Gender and Rights in international Law:Implications for Asia Region”。
熱弁だったが内容はまったく不明。しかも話が長い。
途中、短時間、意識を失う。
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↑(写真2) Vitit Muntarbhorn教授(タイ)の基調講演。
メイン会場には、レインボーフラッグ(性的マイノリティの連帯の象徴)が掲げられている。

コーヒー・ブレイクの時、台湾中央大学の何教授(Josephine Ho)と再会の抱擁。
日本からのメンバーで旧知の石田仁さん(中央大学)、谷口洋幸さん(日本学術振興会)、大河原麻衣さん(首都大学東京)らと再会。
また、日本からのゲストのゲイ作家の伏見憲明氏と、レズビアン雑誌『Carmilla』(ポット出版)の編集長の井上メイミーさんにご挨拶。

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↑(写真3)第1日目の私

11時からの個別発表は、A2セッションのトランスジェンダー(TG)部会に出席。
テーマは「タイとラオスのトランスジェンダー文化」で、研究報告は4本。
(1) Stephane Rennesson “Transgender Culture and Thai Boxing”
(2) Anne Beaumont-Vermon“The Road to Transition:Transgender in Britain and in Thailand”
(3) Richad Totman“Ambivalent Attitudes to Thiland's Kathoey"
(4) Serge Doussantousse“A Gender Minority in Lao PRD:Transgenders or Kathoeys”

(2)は、イギリスとタイとのトランスジェンダーの移行過程の比較研究。イギリスでは時間をかけて精神科医の診断を得た後にSRSをする。
手術費用は国家支給(健康保険が適用される?)。
それに対してタイでは、SRSの前に医師が関わる領域は少なく、家族や社会の受け入れが先行する。

(3)は、ラオスにもタイのKathoeyによく似たトランスジェンダーな人たちがいることの報告。
ただしラオスは小国なので人数は少ないとのこと。
しかし、今までトランスジェンダー文化が知られていない地域からの報告で貴重。

ところで、どうも、東南アジアのトランスジェンダー文化を土着的なものがそのまま発展したものととらえ、欧米のトランスジェンダー文化と比較する研究姿勢が随所に見られるように思う。
しかし、タイやフィリッピンなどには、日本の商業的トランスジェンダー(ニューハーフ)文化の影響がかなり入っていると思う。
つまり、タイやフィリッピンなどから日本に出稼ぎに来たトランスジェンダーが日本のニューハーフ文化を帰国に際して持ち帰り、故国で日本人観光客の嗜好に合うように土着的なトランスジェンダー文化を再構成した可能性がある。
そうした東南アジアと日本とのトランスジェンダー文化の交流に欧米人はまったく気が付いていないようだ。
まあ、欧米人には、ファー・イーストの島国のトランスジェンダー文化など視野に入っていないのだろう。

昼食もバイキング形式。
タイのカレーがおいしい。
すでに量のコントロールが効かなくなっている。

午後の1つ目、13時半からの個別発表は、B2セッションのトランスジェンダー(TG)部会。
日本からのトランスジェンダーの出席者は私だけのようなので、報告の細部は理解できなくても、大要くらいは知りたいので、以後、基本的にトランスジェンダー部会に張り付くことにする。
テーマは「東アジアのトランスジェンダー・コミュニティ」で、研究報告は5本。
(1) James Caspian“Transgender in the Republic China"
(2) Mark King“Public Preceptions of Transgender in HongKong:Social,Psychological,and Emotional Sources of Biases"
(3) Robyn Emerton“Half Full or Half Empty? Legal Status and Activism of the Transgender"
(4) Yuen Man Lisa Lam & Chun Wah Yim“Oral History of Transsexuals in Hong Kong”
(5) Sachiko Wakui“Transition Story' in Person with GID”

中華人民共和国1本、香港3本、日本1本という構成。韓国の報告はなかった。
(2)の報告の中で「日本ではちゃんと法律GID(特例法)を作って・・・・」という言及があった。「ちゃんと」かどうかは大いに疑問だが、国外にはそのように伝わっているらしい。
(4)の京都大学の涌井幸子さん(心理学)の報告は、今回の学会で日本のトランスジェンダーについての唯一の報告。
同時に「GID(性同一性障害)」という概念を表題にしたただ一つの報告。

休憩時間にわざわざ挨拶に来てくれた涌井さんに、日本国内ではGID概念全盛だが、海外、とりわけ今回のような文化人類学、ジェンダー/セクシュアリティ研究者の間では、GIDという概念はほとんど使われず、用語としては(広義の)トランスジェンダー概念がほとんどで、特に限定する場合にトランスセクシュアルが使われている状況を説明する。

案の定、質疑応答は香港勢の報告に集中して、涌井さんの報告には一つの質問もコメントもなく(この点に関しては座長の Sam Winter の不手際だと思う)、まったく無視された形になってしまい、かわいうそうだった。

トランスジェンダーの部会は30人ほどの入りだったが、私以外にはトランスジェンダーの当事者はいないようだ。
もっとも、ほんとうに完パス(完全パス。外見上、トランスジェンダーだとはわからないこと)の人がいたら、私でもわからないのだが。
それだけトランスジェンダーを研究テーマにする非当事者の研究者がいるということで、トランスジェンダーをテーマにする研究者がほとんどいない日本とはかなり状況が違うようだ。
(注1、その後、トランスジェンダーをテーマにする研究者は、少しずつ増加中)

菅沼氏の助けを借りて、部屋替えの交渉。
広いが設備が旧く会場まで遠いタワー棟から、本館3F(341号室)の小ぎれいな部屋に移動することになる。
荷物をまとめに部屋に戻る時、エレベーターの中で初老のアメリカ人?男性に「どこから来たのか?」と声をかけられる。
ファッションでわかるだろうと思いながら「Japan」と答えると、「日本か。俺は沖縄にいたことがある」と言う(たぶん)。
ちなみに、私、英語ができないのに、なんでだかこういう会話はできる。
早い話、パングリッシュ(戦後、進駐軍兵士相手に春を売ったパンパン=街娼がしゃべった英語もどき)なのだと思う。
このおじさん、両手に食品の入った買い物袋を下げていたので、軍務をリタイアしてバンコクの古いホテルに長期滞在をしているのだろうか? なかなかいい男だった。

新館の部屋に移る。
周囲の部屋はアラブ系の家族連れがバカンスで何組も滞在している。
プールがすぐ近くにあるせいだろう。
子供が廊下を走り、母親がそれを叱る。
どこの国でも同じだなぁと思う。
成田の免税店で買ったシャネルの夏限定の新色(173番 透明感のあるピンク)のマニュキュアを塗る。
乾くのを待つ間、少し居眠り。

午後後半の何教授の講演“Is Global Governance Bad for Asian Queers?”は、最後の質疑に間に合ったが、残念ながらほとんど聞けなかった。

18時から屋上のイベントホールでレセプション・パーティ。
大河原さんが白い絽の着物に着替えてきた。
偉い! これぞ日本娘の心意気。
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↑(写真3)大河原麻衣さん(首都大学東京)と。

立食パーティで、アメリカのテキサスから来たMTFTGとその支援者の女性に日本の状況についていろいろ質問される。
日本でも大都市と地方ではトランスジェンダーに対する意識差はかなり大きいと答える。
アメリカの田舎であるテキサスではやはり状況はきついらしい。
頑張って欲しいと思った。
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↑(写真4)テキサスのMTFTG&支援者の女性と。

中国系の若いゲイの男性が「歳はいくつ?」と聞いてきたので、「いくつだと思う?」と聞き返すと、「27歳」と言う。とても良い子なので一緒に写真に写ってあげる。
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↑(写真5)興味津々な様子。「こら、皺を数えるんじゃない!」

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↑(写真6)地元のきれいなお姐さんと。

アトラクションは、2人の上半身裸体のゴーゴーボーイのダンス、少し年期が入り過ぎたお姉さんのタイ舞踊、最後にあまり迫力のないドラァグ・クイーンが2人登場。
総体的に芸能としてのレベルは高くないが、まあ余興ということなので。
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↑(写真7)出演者の人たち。
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↑(写真8)ドラァグ・クイーンのお姐さんと。

21時過ぎ、日本人研究者と在日外国人研究者14人で、ホテルのすぐ近くのアジアン居酒屋に行く。
タイ料理を肴にビールを飲む。
なんだか新宿のエスニック居酒屋で飲んでいる気分。
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↑(写真9)疲れた・・・。
そのうち、男性(ほとんどゲイ系)9人、女性(レズビアン系&その他)4人にきれいに席が分かれてしまう。
私は隅っこに1人。マイノリティの中のマイノリティであるトランスジェンダーの孤独をつくづく感じる。
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↑(写真10)長い一日だった。

さらに街に繰り出すらしいゲイ組と分かれて、23時、ホテルに戻る。
玄関の前にミニスカートにショルダーバッグという姿の女の子が2~3人、さりげなく立っているのに気づく。
一応、格式のあるアンバサダーホテルでは、娼婦はロビーに入れないようだ。

部屋に戻る。さすがにヘトヘト。
化粧を落として、お肌さらさらシートで全身をぬぐい、着物を畳み、明日着るものを準備する。

就寝、0時半。


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